コジキを知る

近所にね、

すごく汚い人がいるんです。


ホームレスみたいな。


いつも夕方になるとボロボロの自転車でやってきて、

野良猫にエサやってるんです。


んで、座り込んで猫と何時間も喋ってるんです。

夏も冬も。


私は「コジキ」と呼んでいます。



犬の散歩をしているとコジキと高確率で遭遇します。

怖いから避けています。



仕事はしているのかなぁ


なに食べてるのかなぁ


ホームレスなのかなぁ


昼間はどこにいるのかなぁ


色んなことが気になります。



でも、きっと、

お金は持ってない。


これ、道の端っこに出来てたんです。

絶対コジキが猫のために作った。



思わず、

「うお、なんか出来てる」

と言ってしまいました。



この写真からコジキのことがある程度推測できます。


・テープやごみ袋を買う金はあるが小屋や木材を買うほどの金はない

・雨や防寒も考慮しつつ小屋を作る知能がある

・常識やモラルという言葉は通用しない

・阿見町(ここも阿見町)に住んでいる

・家がない、または家で猫を飼えない


以上のことから彼の素性はおそらくこうだ。

【ごく少額の年金で生活していてモノやお金に興味がない猫好き】


うん、悪い人じゃなさそうだ。



この小屋を作るのに300円かかっている。

きっと、彼にとっては大金だ。


ボロボロのチャリでダンボール集めて、

なけなしの小銭握り締めて、

知恵を絞ってワクワクしながら作ったに違いない。


いついなくなるかも分からない野良猫に。


その原動力はなんだろうか

「好き」という気持ちか。


すごい犠牲心だ。



私には犠牲心というものが皆無だ。

自分が一番可愛いし、

自分を犠牲にして人を喜ばそうなんて気持ちにはなれない。

貪欲で、なんでも損得だけで計る。



器の小さい寂しい人間だ。



私はなにか、彼から学んだ気がする。

ありがとうコジキ。


次会ったときは話しかけてみよう。

なんでもいい、

好きな食べ物とか、

猫の話とか、

若い時の話とか、

普段何してるとか、

話しかけてみよう。

中覗いたら猫入ってた。

目やにとか鼻くそがビッシリ着いてた。

親にソックリだ。


小屋作る前にこういうところ綺麗にしてやればいいのに。


よし、明日ウエッティ持って拭きに行ってみよう。